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(第2回)入社後3カ月後の有給休暇は従業員に有利!?〜

 皆さん、こんにちは!サトエです。
 だいぶ秋らしくなり、過ごしやすい季節になってきました。
 読書の秋、勉学の秋、食欲の秋・・・秋は何をするにも良い季節ですよね・・・
 さて、「人事の部屋」2回目は年次有給休暇(以下、「有給休暇」という。)の付与についてです。どうぞ最後までお付き合いください。

 「有給休暇」の存在自体は世間一般的にも知られているものと思いますが、有給休暇は法律で定められた労働者の権利です。そこで、まずは、どのような場合に付与される権利なのかといった観点から労働基準法の条文をご紹介することといたします。

(法39条)
「使用者は、その雇入れの日から起算して6箇月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。」

 この条文を紹介すると、「私は入社してすぐに有給休暇がもらえた。」「私の会社は1カ月後にもらえた。」などなど・・・様々な声が聞こえてきます。
 すでに、労働基準法を学習した皆さんは、何故だかお分かりですね?
 そうです。これは、労働基準法の1条2項に根拠があるのです!

(法1条2項)
「労働基準法で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。」

 すなわち、もし皆さんの会社が入社してすぐに有給休暇が付与される会社であれば、会社が皆さんのことを思い、法律で決められた条件よりも有利に有給休暇を付与しているということになります。こうした会社にお勤めの皆さん!恵まれた職場だと思ってください・・・

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 私の会社はというと、「入社後3箇月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、10労働日の有給休暇を付与する」と就業規則に明記しています。入社直後ではありませんが、やはり少しでも従業員に有利になるように、法律の「6箇月」を「3箇月」に置き換えているのです。
 では、当社に4月1日に入社した早川君(仮名)はいつ有給休暇の権利を取得するでしょうか?当然、通常であれば3箇月経過後の7月1日に付与されることとなりますね。
 しかし、9月になり、早川君は初めて「有給休暇取得申請書」なるものを上司に提出したのですが、この申請があっさりと却下されてしまったのです。何故かというと、この申請に基づき、上司が有給休暇の残日数を一元管理している勤怠システムを確認したところ、早川君には有給休暇が付与されていなかったからです。理由を検証したところ、早川君は入社して間もない4月3日から5月5日までの間、自己都合により計22日間の欠勤をしていたことが判明しました。
 つまり、3箇月経過後の6月30日の時点で全労働日65日のうち、22日間休んだということで、出勤率が66%だったことになります。残念ながら、3箇月のうちの出勤率が8割に満たなかったので、本年度は早川君に有給休暇が付与されなかったということです。

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 さて、ここまで聞いて「当たりまえ」だと思った方も多いのではないでしょうか?
実は、私も早川君には可哀そうですが今年度は仕方がないことだと思っていました。
しかし、「可哀そう」の気持ちから、有給休暇の取扱いについて労働局に確認をしてみると、次の行政通達を教えてくれました。

(平6.1.4基発1号)
「斉一的な取扱いや分割付与により法定の基準日以前に付与する場合の年次有給休暇の付与要件である8割出勤の算定は、短縮された期間は全期間出勤したものとみなす。」

 今回のケースは直接的な斉一的な取扱いや、分割付与ではないものの、この通達に準じて取り扱う必要があるとのことです。
 つまり、法定の基準日(入社6箇月経過後の10月1日)から短縮された7月1日から9月30日までの期間は全て出勤したものとみなして出勤率を判定するということになります。従って、早川君の場合は7月1日から9月30日までの労働日66日間は、すべて出勤したものとみなされるため、出勤率は全体で次の通りとなります。

期間 労働日 出勤日数 出勤率
4月1日〜6月30日まで 65日 43日 66%
7月1日〜9月30日まで 66日 66日(みなし) 100%
4月1日〜9月30日まで 131日 109日 84%

 何と!早川君の出勤率は8割を超えるではありませんか!(もちろん有給休暇が付与されることになります)

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 単に法律の条文にある要件「6箇月」を緩和し、従業員に有利にしようと就業規則等に定めても、それに関連する周辺事項の知識を有していないと、かえって従業員にとって不利となってしまうケースがあることを知ったのです。
 総務・人事の実務を行う皆さん!日々の業務の中で、疑問に感じたことなどがあれば、お近くの社労士や、各都道府県にある労働局等に相談をし、確認を行った上で業務を行なうことをお勧めします。(ちなみに、都道府県の労働局は、匿名でも電話相談に親切に応じてくれます。)
 今回は、総務・人事の仕事は(他のお仕事も同様ですが・・・)会社で働く従業員のために慎重に行う必要があるということを改めて感じさせられた事例を紹介させていただきました。

 そろそろ来年の試験に向けて始動される方も多いのではないでしょうか?
法律は勉強をしてみると意外と面白いものです。これから1年間、どうせ勉強をするのであれば、楽しんで勉強をしてください!では、次号でまた会いましょう。

3回目に続く