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(第4回)定時決定の知識は10、11月に必要!?〜

 皆さんこんにちは!
 今回は、定時決定についてご紹介いたします。「何でこの時期に?」と思われる方もいらっしゃると思いますが、実は、実務を行っているとこの時期(10月〜11月)に最も知識が求められるのです・・・

 10月の給与を受け取り、「手取額が前月よりも少ない(又は多い)」と感じたサラリーマン・OLの方も多いのではないでしょうか?この理由の一つに社会保険料の改定による影響が挙げられます。ご存知の方も多いと思いますが、社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料)については、原則、1年に1度、被保険者の標準報酬月額を実際の報酬(給与)と見合ったものにするため、標準報酬の改定が行われることになっています。これを定時決定といい、毎年4、5、6月の3カ月の報酬の平均をもって決定されます。
 この時決定された標準報酬月額は、その年の9月より改定され、翌年の8月まで適用されるのですが、多くの会社は社会保険料を翌月給与から控除するために、10月の給与より保険料額が変更されることとなるのです。

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 さて、私たちの会社も10月の給与より保険料が変更されるので、10月の給与支給日が過ぎると従業員からの問い合わせに追われます。今回は、その中で特に多い内容のものを3つご紹介いたします。

@  健康保険料・厚生年金保険料が大幅に上がっているのは納得できない。
A 健康保険料は変わっていないのに、厚生年金保険料だけが変わっているのは何故か?
B  今回、健康保険料・厚生年金保険料が下がっているが、給与が下がったのは昨年のことである。本来であれば、給与が下がった時点で「随時改定」の対象となったのではないか?(これまでの保険料が誤っていたのではないか?)


 すでにお分かりの方もいることと思いますが、一つずつみていくことにしましょう。
@について
 定時決定は、4月・5月・6月の給与を基に算定されるので、この期間に残業や休日出勤などが多く発生し、残業手当・休日手当をたくさん貰うと、その年の9月から保険料が高くなってしまうのです。この説明を行うと「何で先に言ってくれないんだ!」と言われることもあります。このような場合には、定時決定の制度を丁寧に説明し、納得してもらうようにしています。確かに4月が新年度という会社が多い中、年間を通しても最も忙しい時期という会社も多いと思います。しかし、どうしても保険料をたくさん取られたくないという方は、来年のこの時期、少し残業を控える工夫をしてみてはいかがでしょうか?
Aについて
 「そんなことあるの?」と思われる方もいるかも知れません。実は、厚生年金保険の保険料率は平成29年9月まで、毎年9月に0.354%ずつ引き上げられているのです。したがって、4月、5月、6月に報酬に変動がなくても厚生年金保険の保険料については自動的に上がってしまうということになります。
たとえば、標準報酬月額300,000円の場合の保険料は次の通りとなります。

 報酬が従前と全く変わらなくても、個人負担分としてランチ1食分!?を多く負担することになるのです。
Bについて
・少し長くなりますが、事例を基に解説することにします。
平成19年7月に管理監督者となった土谷さん(仮名)のケースです。
具体的には、平成19年6月まで一般職であった土谷さんは、時間外労働や休日労働が多く、毎月の給与で、時間外手当・休日手当が支給されていました。しかし、7月以降は管理職手当が支給されることになり、一方で時間外手当・休日手当が一切無くなったのです。

(※)非固定的賃金とは、ここでは時間外・休日労働における手当をいうことにします。

 ところで、保険料の改定は、年に1回の定時決定の他に、随時改定というものが存在するのはご存じでしょうか?
随時改定は、次の3つの条件を満たした時に、固定的賃金の変動があった月から4ヶ月目に改定が行われることになっています。
(1) 昇(降)給などで、固定的賃金に変動があったとき
(2) 固定的賃金の変動月以後継続した3カ月の間に支払われた報酬の平均月額を標準報酬月額等級区分にあてはめ、現在の標準報酬月額との間2等級以上の差が生じたとき
(3) 3カ月とも報酬の支払基礎日数が17日以上あるとき
 確かに、土谷さんの場合は(3)の要件は満たしているものとして、(1)と(2)も要件を満たしていることがお分かりでしょう。
 しかし、このケースのように固定的賃金が増加しても、それ以上に残業手当など非固定的賃金が減少したために、3カ月間の平均額が結果として2等級以上下がった場合には、随時改定の対象とはならないのです。したがって、結局のところ平成20年の定時決定を待って、保険料額が改定されることとなったのでした。
 参考までに、随時改定が必要となる場合と必要でない場合についてまとめてみることにします。


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 今回は、従業員からの3つの質問について述べさせていただきましたが、実務を行っていると本当に様々なケースがでてきます。そして、このように給与の手取額が増減すると、従業員からの問い合わせが多くなります。
 定時決定の事務処理自体は、6月末〜7月上旬に行うものですが、最初にも述べた通り、実際に従業員に影響するのは10月の給与からになります。事務処理については、手引きやインターネットなどで調べながら業務を行えますが、従業員からの問い合わせには迅速な回答が求められるので、意外にも定時決定に関する知識をしっかりともっていなければならないのは、10月、11月ということになるのです。7月の事務処理が終わって安心してはいられないということです。

 「定時決定」についていかがだったでしょうか?今年、初めて社労士試験の勉強をスタートした方には、なかなか理解しづらい内容であったかも知れません。(反省しています。)しかし、これから健康保険法、厚生年金保険法を学習していく中で、定時決定・随時改定の学習も行うことになりますので、今、理解できなくても心配しないで下さいね。

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 11月7日(金)第40回の社労士試験の合格発表がありましたが、今年の合格率は7.5%ということで、狭き門となってしまいました。今年、合格できた方、本当におめでとうございます!しかし、これがゴールではなく、これからが社労士としてのスタートであることを忘れないで下さい。お互い社会保険労務士として日々、努力をしていきましょう!
 また、あと一歩で残念な結果となってしまった方は、来年こそは狭き門を通過できるよう気持ちを入れ替えて頑張りましょう!狭き門を通過するからこそ価値があると前向きに考えてください。

 では、次号でまた会いましょう。
5回目に続く